会いたくてたまらない。
受験までもう会わない、そう言ったのは自分。そう決めたのも自分。
なのに、それを後悔しちまってるなんて、オレどうかしてる。
携帯をぱかりと開ける。
そこに映し出されるのは少しピンボケ気味の。
それは以前、あいつの学校に行ったとき、こっそり写した彼女の写真。
あいつ、はっきりとは言わねぇけど、超進学校のはばたき学園の中でも、さらに成績優秀で運動神経も抜群な万能人間らしい。
顔は万人並みだから、才色兼備とか言うのとはチョット違うけどよ。
でもコロコロとめまぐるしく変わる表情はオレの安らぎの場所っつ〜か。
親からも学校からもしかとされてたオレを言うに事欠いて「信じる」「やれば出来る」なんてあっさりと言ってくれちまった。
羽学で金髪で目つき悪くて、普通に考えたら絶対に近寄りたくないだろうとオレなんかに簡単に微笑んでみせる。
この世に天使ってのが本当にいるのなら、みたいな奴のことなんだろうな。
いや・・・違うな。
オレの天使がなんだろうな。
てっとり早く言うと、オレはあいつに惚れちまった。
あいつの携帯番号聞かないで良かったぜ。
聞いちまってたら今にも連絡しちまいそうだ。
あいつの邪魔になるのによ。
あいつが選んでくれた、あいつとおそろいの参考書。
これが今のオレとお前を繋ぐ唯一のもの。
オレの大事な大事なお守りだ。
あいつの学校の伝説。
が目をキラキラさせて語ってくれた、あいつの信じてる伝説。
オレは王子様って柄じゃねぇのは分かってるけどよ。
卒業式の日に、を迎えに行きたい。
あいつが許してくれるなら、オレがあいつの王子様になりたいんだ。
さあ、勉強勉強。
と同じキャンパスでの生活。それがオレの夢だ。
すぐには無理でもいつかあいつの隣に立って、あいつに見合う男になりてぇんだ。
必ず迎えに行くから、オレの希望と夢であり続けてほしい。
オレの、オレだけのお姫さまになってくれ。